Gag Story Change ―10三蔵と悟浄は、宿の裏に出た。桃花の足では追いつけず、まいたらしい。 「・・さっ、ジープちゃん、ココに座って?」 三蔵が、悟浄の背中を壁に押しあてて、座らせる。そして自分は膝立ちに。 『コレで準備オッケー♪』そう思って、悟浄を見たが・・・・・。 困った。『・・・どうしようっ・・・』そう、確かにこの体は三蔵の体。 唇も三蔵の。相手は悟浄君だけど、中身はジープ。問題ない。問題ないって・・・ 思ってたモノの。『・・・キスするのは自分・・だよね?』悟浄の唇に。 ぐわあああ~っと頭を抱える。いくら中身が別物でも。 思い切って至近距離まで近づいてみた。もう、唇が触れ合う寸前。 『ううっ・・・』またもや嫌な汗が背中を伝う。 間近で見る深紅の瞳は紛れもなく、悟浄の瞳で――――――『・・・出来ない。』 そう、思った瞬間、「・・この野郎ぉっ!!」突然の大声で、悟浄が動いた。 【ぶちゅっ】 三蔵と、悟浄の唇が、触れた。 そのおぞましい光景を―――桃花は見ていた。 「・・アレ?あたし・・??」パンパンと自分体を叩く。 「「ぎゃああっ!!」」男二人が悲鳴を上げた。 お互いが、お互いの体を突き飛ばしたのだが・・三蔵はひっくり返り、 悟浄は壁に後頭部をぶつけてダウンした。 「やったー元に戻ってる~♪」小躍りする桃花。 ――――――――――――――――――――キスの寸前、夕日が落ちたのである。 「あっ!ジープ?お前も元に戻れて良かったね~。」 足下にいたジープを抱き上げ、ちゅっとキスをした。 「さっ!八戒ちゃん達の所に戻ろうかっ。」踵を返した桃花の背後で、 「・・・・ちょっと・・・待てぇ・・・」殺気を感じた。 桃花は、ダラダラと顔に冷や汗を掻きながら、 「・・・・早く行かなきゃっ♪」後ろを見ずに脱兎の如く、駆け出した。 「このっ・・魔戒天浄を喰らわせてやる!!」悪鬼の形相で、追いかける三蔵。 遠ざかる悲鳴と怒声を聞きながら、「・・・俺の立場って・・。」悟浄が呟いた。 ―――翌日 桃花は、町のチンピラから「姐さんっ。」と、慕われ、(悦に入ったらしい) 悟浄は、「厄払いするんだぁ!!」と、暴れだし、(半泣きだったらしい) 三蔵は、町中の女性達からまとわりつかれ・・キレて、(発砲したらしい) 悟空とジープは・・避難して、(かなり怯えたらしい) 八戒が・・・ため息をつきながら、事態の収拾にあたった(黒く微笑んでいたらしい) ・・・・・・噂では、紅孩児達が、その後、精神的後遺症に悩まされた(らしい) そして、天界では――観世音菩薩が笑いすぎて顎を外し、 二郎神が「022・・022・・」と呟きながら、夢遊病者のように歩いていた、 ・・・・・・・・・・らしい。 第11話 完 ジャンル別一覧
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